相続放棄の手続で必要な書類

文責:所長 弁護士 白方 太郎

最終更新日:2022年09月15日

1 相続放棄手続き

 相続放棄は、家庭裁判所に対し、期限までに所定の書類を提出して行う手続きです。

 提出する書類には様々なものがあり、相続関係や相続の開始を知った経緯によって異なります。

 相続放棄申述書という書類は、すべてのケースにおいて作成・提出する必要があります。

 そのほかの書類について、以下説明します。

2 共通して必要な書類

 相続放棄申述書のほか、すべての相続放棄手続きにおいて共通して、以下の書類が必要です。

 

 ⑴被相続人の除籍謄本(死亡の記載のある戸籍謄本)

 ⑵被相続人の住民票除票または戸籍の附票

 ⑶相続放棄を申述する相続人(申述人)の戸籍謄本

 

 申述人が被相続人の配偶者である場合、戸籍から抜けていない子である場合、被相続人の死亡の記載と、相続人が一つの戸籍謄本に載っていることもあります。

 このような場合、1通で被相続人の除籍謄本と申述人の戸籍謄本を兼ねることができるので、2通取得する必要はありません。

3 子が亡くなった場合の直系尊属の場合

 痛ましいことに、子が直系尊属(特に親)よりも先にお亡くなりになることもあります。

 そして、子が借金を抱えていたり、損害賠償債務を負っていたりする場合、相続放棄が必要になることもあります。

 この場合、上記1に加え、次の書類が必要となります。

 

 ⑴被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

 

 収集する戸籍謄本類が他のケースに比べて多くなり、準備に時間を要することがあるため、注意が必要です。

 子が結婚するなどして、親の戸籍から抜けていて、本籍地を別の自治体に移した場合、複数の自治体に対して戸籍の申請をしなければなりません。

 戸籍謄本類の収集に必要な期間を考慮し、早めに着手するのがよいでしょう。

4 兄弟姉妹の相続放棄の場合

 被相続人が独身者であったり、先順位相続人が相続放棄をした場合、兄弟姉妹が相続人となるため、相続放棄の必要に迫られることがあります。

 この場合、上記1に加え、次の書類が必要となります。

 

 ⑴被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

 ⑵被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本

 

 直系尊属の相続放棄以上に戸籍謄本類の収集に必要な期間が長くなるため、注意が必要です。

 直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本については、裁判所によって運用は異なるものの、出生年月日から見て一定年齢(例えば115歳など)に達していると考えられる方については、死亡の記載のある戸籍謄本の提出は不要とされることもあります。

5 代襲相続人が相続放棄をする場合

 被相続人が高齢である場合に発生することが多いです。

 被相続人が高齢である場合、兄弟姉妹も高齢であり、先に亡くなっていることがあります。

 そうすると、先に亡くなった兄弟姉妹の子が代襲相続人となり、相続放棄をする必要があります。

 この場合、1または2または3に加え、被代襲相続人の死亡の記載のある戸籍謄本が必要です。

6 被相続人死亡日と、相続開始を知った日が異なる場合

 被相続人と疎遠であったり、海外に長期滞在していたなどの事情により、長期間被相続人の死亡の事実を知り得ないこともあります。

 例えば、疎遠で音信不通であった親が借金を残したまま亡くなっていた場合、死亡日から1年程度経過した後に、親の債権者等が相続人を調べ、相続人に対して支払い請求をすることがあります。

 相続人は、このときはじめて被相続人の死亡の事実を知ることになります。

 相続放棄は「相続の開始を知った日」から3か月以内に行う必要があります。

 そこで、被相続人死亡の事実が書かれた市役所からの通知書や、債権者からの支払い請求書を用意し、債権者や市役所等から送付された書面を読んだ日をもって、相続の開始を知ったと説明することになります。

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