相続財産の処分と相続放棄

文責:所長 弁護士 白方太郎

最終更新日:2021年12月25日

1 相続財産の処分と相続放棄の関係

 法定単純承認事由に該当する行為を行うと、相続放棄が認められなくなる可能性があります。

 法定単純承認事由に該当する行為の一つとして、相続財産の処分があります。

 どのような行為が相続財産の処分に該当するかについては、完全に確立しているわけではありませんが、実務上問題になりやすいものとして、遺産分割協議、及び相続財産の売却が挙げられます。

2 遺産分割協議

 遺産分割協議は、相続財産を取得する意思を表明する行為であるという趣旨から、法定単純承認事由に該当する行為とされます。

 遺産分割協議を行ってしまうと、相続放棄は認められないことになります。

 しかし、遺産分割協議を行ってしまった後になって多額の相続債務が発見されたような場合、相続人が債務から逃れられなくなるというのは酷です。

 そこで、初めから相続債務の存在を知っていたならば遺産分割協議をせずに相続放棄をしていたという場合には、遺産分割協議を錯誤無効とし、相続放棄が可能となると解釈される場合があります

 当法人においては、遺産分割協議を行ってしまったうえ、遺産分割協議に基づいて不動産を取得したというケースにおいても、遺産分割協議が錯誤無効である旨を主張し、裁判所に相続放棄を認めてもらった実績もございます。

 もし遺産分割協議を行ってしまったとしても、あきらめずにご相談ください。

3 相続財産の売却

 一般的に売却という行為は「処分」に該当しますので、相続財産の売却は法定単純承認事由に該当する行為に該当する可能性があります

 具体的には、不動産や、自動車・バイク、金のインゴット等価値のある動産を売却してしまう行為などがあります。

 もし売却してしまった後で相続放棄の手続を行わなければなら亡くなった場合、とにかくすぐに買手や仲介業者へ連絡し、錯誤を理由として元に戻してもらうよう相談しましょう。

 実際にバイクを売却してしまった直後にディーラーに事情を説明して、既に受け取った売却金を返還することで、バイクを取り戻すことができた事例もあります。

 ただし、あくまでも相手がいることですので、必ずしも元に戻してもらえるとは限りません。

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