相続放棄が受理されないケース

文責:所長 弁護士 白方 太郎

最終更新日:2022年04月20日

1 相続放棄手続き

 相続放棄を行う場合は、相続放棄申述書という書類に必要事項を記載したうえで、戸籍謄本類等の付属書類と一緒に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出します。

 相続放棄申述書には、被相続人や申述人(相続人)の情報のほか、相続の開始を知った日や知るに至った経緯、相続放棄をする理由などを記載します。

 これらの情報は、家庭裁判所が相続放棄を認めてよいか否かを判断するために用いられます。

 また、相続放棄申述書を家庭裁判所に提出した後、家庭裁判所から質問状が届くことがあります。

 この質問状に記載された質問事項も、裁判所が相続放棄を認めてよいか否かを判断するために用いられます。

 では、どのような場合、相続放棄が認められないのでしょうか。

2 法定単純承認事由の存在

 相続放棄は、認めないと申述人の今後の人生において非常に大きな負担が生じてしまうことから、一般的には、家庭裁判所はできる限り認める方向で動いているようにも感じられます。

 もっとも、明らかに法定単純承認事由が存在する場合は、認めないことがあります。

 法定単純承認事由とは、相続放棄が認められなくなる行為等のことで、典型的なものとしては、熟慮期間の渡過、相続財産の処分が挙げられます。

 相続の開始を知った日から3か月以上経過している場合、熟慮期間の渡過となりますので、相続放棄は認められません。

 また、相続財産である動産・不動産を売却したり、建物を取り壊したりすることは相続財産の処分となり、相続放棄が認められません。

 注意すべきことは、遺産分割協議も相続財産の処分に該当するということです。

 遺産分割協議を完了してしまうと、原則として相続放棄は認められません。

3 なりすましや強要が疑われる場合

 家庭裁判所が質問状を送付する意図のひとつとして、相続放棄の申述が、申述人とされている人の真意に基づいたものであるかを確認するというものがあります。

 このようにする理由は、相続財産を独り占めしたいと考えている相続人が、勝手に他の相続人の名前で相続放棄をしたり、無理矢理相続放棄をさせたりする可能性があるためです。

 質問状には、直截的に、「あなたの真意に基づくものですか」という質問が記載されていることがあるほか、相続放棄の理由や経緯を再度問うものもあります。

 質問状における回答内容と、申述書に記載された内容に大きな乖離がある場合も、なりすましを判断する一つの要素となります。

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