被相続人に関する金銭の請求について

文責:所長 弁護士 白方 太郎

最終更新日:2022年05月13日

1 被相続人に関して請求できる金銭

 生命保険金、未支給年金、死亡退職金など、被相続人がお亡くなりになると、受取ることのできるお金が発生することがあります。

 しかし、相続放棄手続との関係においては、これらの中に請求したり受け取ったりしてよいものと、そうでないと考えられるものがあるため、注意が必要です。

 法律構成が複雑なものもあり、相続放棄を検討されている方にとって、これが最も悩ましいものの一つとなります。

2 金銭を請求して受取るべきか否か

⑴ 法定単純承認事由に該当する行為

 法定単純承認事由に該当する行為を行うと、相続放棄が認められません。

 法定単純承認事由に該当する行為の一つとして、債権の取り立てがあります。

 被相続人の債権について、請求できる権利を行使してお金を受取ることは債権の取り立てになります。

 被相続人が亡くなられたことに伴って請求できる金銭が、被相続人の債権に基づくものである場合、それを受取ると法定単純承認事由に該当する可能性が生じます。

 

⑵ 相続人固有の権利も存在する

 悩ましいことに、被相続人が亡くなった際に受取ることができるお金には、被相続人の債権に基づくものと、相続人固有の権利に基づくものがあります。

 前者の債権に関するお金を受取ることはできません。

 しかし、後者に関する債権であれば、相続財産ではないので、受け取ったとしても法定単純承認事由にはならず、相続放棄に影響しません。

 相続人が受取人となっている生命保険金、相続人を受取人として定められている死亡退職金・未支給年金、葬儀を主宰する者に支給する旨が条例等で定められている葬儀費用補助金などは、相続人等の固有の権利ですので、受取ることができます。

 

3 実務上の問題

 さらに、相続放棄の実務の現場ではもっと大きな問題があります。

 それは、実際に相続放棄を検討している方が受取ろうとしている金銭が、本当に法定単純承認事由に該当しないものであるかを判断することです。

 上述のように、理論上受け取ってよいお金と、そうでないお金を区別することはできます。

 しかし、実際に受け取ってよいかを確実に判断するためには、都度書類等を精査し、場合によっては会社や市町村の窓口まで行き、請求できる金銭の法的性質を確認しなければなりません。

 これは容易なことではありません。

 そのため、相続放棄には厳格な期限があるので相続放棄検討段階では請求をせず、相続放棄を終えたあとや、または並行して時間をかけて受け取り可能な金銭であるかを検討する方が望ましいです。

 相続放棄に付随する問題は非常に複雑です。

 被相続人に関する金銭について少しでもお悩みでしたら、相続放棄を得意とする弁護士が在籍している当法人まで、お気軽にご相談ください。

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