相続放棄の効果とはどのようなものか

文責:所長 弁護士 白方 太郎

最終更新日:2022年06月20日

1 相続放棄の法的効果

 相続放棄は、ひとことで言えば、はじめから相続人ではなかったことになるという法的効果を持ちます。

 感覚的な表現をすると、相続の上では、被相続人とは全く関係のない他人になるということです。

 この効果によって、実際にどのような違いが出てくるか、以下に具体的な例を説明します。

2 相続債務を負わない

 相続放棄をすると、被相続人のプラスの財産を得られない代わりに、被相続人の債務を免れることができます。

 実務上、被相続人に債務があることから、相続放棄をしたいという方が多くいらっしゃいますので、この効果は非常に重要です。

 実は、遺産分割協議において、相続しない(遺産を一切受け取らない)という取り決めをしても、原則として相続債務は免れることができません。

 相続債務を免れるためには、相続放棄をする必要があります。

3 相続手続きに関わらずに済む

 他の相続人と険悪な関係であったり、遺産分割協議をすると危害を加えてくるおそれがある相続人がいるなど、遺産を取得しないことと引き換えに相続手続きから離脱できるという効果もあります。

 正確に表現すると、相続人でなくなる以上、相続手続きに関わることができなくなります。

 相続放棄完了後、裁判所から交付される相続放棄申述受理通知書の写し等を他の相続人に送付し、一切相続に関わらない(関われない)旨を伝えることで、相続のストレスから解放されます。

 なお、相続放棄をすると相続人ではなくなるという効果があることから、兄弟がいる場合には、兄弟の法定相続割合が増える効果もあります。

4 特定の相続人に遺産を集約する

 地方に残った相続人が家業を全て継ぐ場合など、負債も含めて先代被相続人の財産をすべて特定の相続人に集約したいというケースもあります。

 この場合、他の相続人全員が相続放棄をすることで、自動的にすべての遺産を、残った1人の相続人が相続するという形になります。

 特に負債については、この方法を取らない限り、金融機関等の同意を得ないと特定の相続人に集約することができないので、この効果は重要です。

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