相続放棄をしたら、他の相続人への通知は必要か

文責:所長 弁護士 白方 太郎

最終更新日:2022年07月11日

1 相続放棄は単独で行える

 相続放棄は、各相続人が単独で行うことができる手続きです。

 そのため、法律上は、他の相続人に対して相続放棄をする旨を通知する必要はありません。

 また、他の相続人と共同して行う必要もありません。

 補足をしますと、遺産分割協議のように、相続手続きの中には、相続人全員が共同して行わなければ効力を生じないものもあります。

 もっとも、実務上は、他の相続人に対して、相続放棄をする旨を通知した方が良い場合とそうでない場合があります。

 以下、説明します。

2 他の相続人との疎遠でない場合

 被相続人がお亡くなりになり、その相続について、他の相続人と連絡が取り合える状況である場合、相続放棄をする旨を通知した方が良いです。

 他の相続人との関係が険悪でない場合、相続放棄をする旨を伝えてあげることで、他の相続人の取得分に変動が生じることを認識してもらうことができます。

 特に、相続債務の負担が増えることになるため、このことはとても大事です。

 また、このようにすることで、他の相続人も一緒に相続放棄をする判断の一助になることもあります。

 遺産分割で揉めている場合や、トラブルメーカーの相続人がいて、相続関係から離脱したい場合にも相続放棄は有効です。

 このような場合も、相続放棄をする旨を伝えることは大切です。

 相続放棄をすると、はじめから相続人ではなかったことになります。

 言い換えますと、相続に関わることができなくなります。

 他の相続人に相続放棄をする旨を伝えれば、今後一切相続には関わり得ないと宣言するのと類似した効果がありますので、他の相続人からの干渉を抑止することができます。

3 他の相続人と疎遠である場合

 一般的には、敢えて相続放棄をする旨を伝えなくてもよいと考えられます。

 まず、戸籍謄本等により他の相続人の存在は判明していても、連絡先が一切わからない場合、相続放棄をする旨を通知することは事実上困難です。

 実際、相続放棄をすべきケースにおいては、他の相続人と疎遠であるということがよくあります。

 そして、他の相続人から見ても、被相続人とは疎遠であったりします。

 もし他の相続人の連絡先がわかっても、無理に相続放棄をする旨を連絡する必要はありません。

 むしろ、連絡をすることで、相続の開始があったことを知ってしまいます。

 そうすると、他の相続人は、連絡を受けた日から3か月以内に相続放棄をするか否かを判断しなければなりません。

 そのため、そもそも法律上の義務ではないことと合わせて、連絡をしないという判断が得策であることもあります。

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